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イチローも仰ぎ見るMLBの偉人。
「王さんに通じるもの」とは何か。

posted2017/07/12 11:30

 
イチローも仰ぎ見るMLBの偉人。「王さんに通じるもの」とは何か。<Number Web> photograph by AFLO

イチローが、またひとつ偉大なプレーを歴史に刻んだ瞬間。カルーが引退した40歳を越えても、なお進化・成長し続ける男の背中である。

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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 メジャー通算3054安打。

 歴代24位となったこの記録は、イチローがパナマ出身のロッド・カルーを抜き、米国以外の出身選手ではメジャーのトップに立った数字として、注目を集めた。

 だが、イチローは一蹴した。

「そこは重要なことではないですね」

 そして、続けた。

「人から聞かされていなかったら、僕から探す、気にする、追い求めるものではない。でも、それがロッド・カルーであったと言うのは聞いていたので、それが特別と言うことですね」

 カルー氏はイチローにとって特別――これまで、表立ってふたりの接点、両者の思いを知る者はいなかった。今回のカルー越えで、イチローは初めて自身の思いを口にした。

「誰の記録かと言うことが重要。ロッド・カルーは王さんに通じるものが僕の中にはある。そう言う意味で特別な記録、関わりですね」

イチローが尊敬する王貞治、そしてカルー。

 日本で868本塁打を放った王貞治氏(ソフトバンク球団会長)はイチローが最も尊敬する野球人だ。その恩師を引き合いにだし、語り出したカルー氏への思い。

 それは、イチロー自身が大切にしたい、野球人としての姿勢、生き方、立ち振る舞いであると感じる。

 カルー氏は1967年に21歳の若さでツインズからデビューし、19年間の現役生活でオールスター出場は実に18回。新人王、MVP、首位打者にも7回輝き、今もその偉大なる経歴を称え、ア・リーグの首位打者は『ロッド・カルー賞』の名が付く。引退は40歳。エンゼルスを自由契約となった翌年の'86年のことだった。

【次ページ】 酷似していた、カルーとイチローの打撃理論。

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