ゴルフPRESSBACK NUMBER
野村敏京の辞書に「スランプ」は無い。
全米女子で樋口久子以来の優勝を。
posted2017/07/10 11:00
text by
南しずかShizuka Minami
photograph by
Shizuka Minami
11歳でゴルフを始めた野村敏京は、テレビに映るタイガー・ウッズに魅せられた。
「なんでタイガー・ウッズみたいに打てないんだろう? 私って、下手だなあ」
タイガーのスイングをビデオで何度も再生して見ては、毎日約5時間、近所の練習場でドライバーだけをとにかく振り続けた。
ゴルフアカデミーなどに所属することもなく、いつもたった1人で練習した。誰かに強制された練習ではなかったので、全く疲れることなかったという。
すでに中学生の時、ドライバーはキャリーだけで260ヤード飛ぶようになっていた。飛距離だけなら、いまどきの日本ツアーのトップ選手と同等である。当時から「プロになったら飛ばす方が絶対有利」だと考え、試行錯誤しながら良いスイングを追求した。
自分で考えて自分のゴルフを追求すること――それが野村のゴルフの基礎である。
7月9日現在、野村は世界ランク19位で、約1年以上も日本勢最高位を維持している。飛ばすことだけを考えていた中学時代とは違い、ゴルフは成熟した。「ショットの正確性、パッティング、メンタルコントロール」がプレーの強みだ。
スイングに迷いが無いので、不調そのものが無い。
「野村のスイングは非常に正確」と、野村のクラブを担当するヤマハのスタッフである梶山駿吾は言う。
スイングの要所を本人が完全に把握してるため、ショットに迷いやプレッシャーがまったくない。迷いがなければ、当然、スイングが安定し、不調に陥ることが少ない。
野村がスイングで気をつけていることといえば「ドライバーは思いっきり振ってまっすぐ飛ばすこと」と「ショットは方向性に気をつけること」という、極めてシンプルなことだけである。