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岩崎恭子、藤井四段、みうみま。
日本は「14歳」が好きすぎるのでは。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2017/07/03 11:00
バルセロナ五輪で金メダルを取って一躍時の人となった岩崎恭子氏は20歳で引退し、海外留学を経て現在は再び表舞台で活躍している。
「若さ」を消費する方向に向かっている。
よりジャンルを広げるならば、将棋の世界では藤井聡太四段(7月19日で15歳になる)が連日テレビで報道されている。
藤井四段の報道は、常軌を逸していると思う。異常な数のカメラに取り囲まれての対局を目にした人も多いだろう。
そして、テレビに出ているコメンテーターが順位戦の仕組みを理解していないことに驚く。昭和の時代だったら、各棋戦の仕組みや、タイトルホルダーの名前は「教養」の一部だったように思うのだが。
特にテレビのワイドショーでは、スポーツと芸能との境目がかなり曖昧になっており、「若さ」を消費する方向に向かっている。
アメリカにも似たような例はあるが……。
アメリカのスポーツ報道と比較してみると、日本はことさらローティーン、ミドルティーンを好むことが分かる。
かつて、アメリカでティーンエージャーがこのような形で取り上げられたことがあっただろうか、と考えてみたが、現役でパッと思い浮かぶのはこのふたりである。
MLB
ブライス・ハーパー
NBA
レブロン・ジェームズ
ハーパーは2009年、16歳で『スポーツ・イラストレイテッド』の表紙を飾り、全国的に知られるようになった。ハーパーはその後「促成栽培」の道をたどり、高校2年修了時に後期中等教育課程(GED)の資格を得たり、大学でも木製バットを使用するなどしてプロ入りの準備を進め、いまはメジャーリーグを代表する選手になった。
NBAではいうまでもなくレブロンが代表格。高校時代から圧倒的な能力を発揮していた彼のプレーに注目が集まり、高校の試合が全国放送されるなどした(アメリカでは異例のことだ)。
ふたりの例を見ると、アメリカでは「神童」と目されてはいても、高校生で実力を証明し、プロでの活躍が見通せる選手に対してようやく注目が集まる。日本の方が「青田買い」の傾向が強いように思う。