サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ハリルジャパンよ、目は覚めたか?
今さら集中力と言いたくはないが……。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byNanae Suzuki
posted2017/06/08 11:25
ここ近年はサイドを主戦場としていた本田だが、シリア戦でのインサイドハーフ起用は新境地開拓への第一歩なのかもしれない。
本田を香川の代役に指名するのは実効性に富む。
守備のバランス感覚も悪くない。CSKAモスクワ在籍当時には、チーム事情でボランチを務めたこともある本田だ。山口に代わったアンカーの井手口陽介をさりげなく、それでいて確実にサポートしていた。
シリア戦で左肩を脱臼した香川は途中離脱が決まった。それに加えて、ピッチコンディションへの不安がある。パスワークを発揮しにくい環境で、フィジカルに優れるイラクとデュエルを繰り返すことを想定すると、本田を香川の代役に指名するのは実効性に富む。山口、今野、本田の3人なら、中盤の攻防で劣勢に立たされることはないだろう。
そのうえで、アラートな状態でゲームに入りたい。
昨年10月のイラク戦で、日本は直接FKから失点をしている。それだけではない。キックオフ早々にも、左CKから右ポスト直撃のヘッドを許した。
この日のシリア戦でも、リスタートから失点を喫している。ショートコーナーの流れから、ヘディングシュートを叩き込まれた。フリーで放たれた一撃は、GK川島にとってノーチャンスだった。
左サイドからのクロスボールは、昌子の頭上を越えてヘディングされた。だからといって、彼ひとりに責任を押し付けるものではない。チーム全体の集中力に問題があった、と考えるべきである。
チームが課題としているリスタートから喫した失点を、イラク戦への警告としなければならない。研ぎ澄まされたメンタルでゲームに入り、一瞬の油断も小さなスキも見せないことで、勝利は近づいてくる。