サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ハリルジャパンよ、目は覚めたか?
今さら集中力と言いたくはないが……。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byNanae Suzuki
posted2017/06/08 11:25
ここ近年はサイドを主戦場としていた本田だが、シリア戦でのインサイドハーフ起用は新境地開拓への第一歩なのかもしれない。
乾の個の力は強烈だったがイラク戦の3トップは……。
58分の同点ゴールが分かりやすい。左サイドバックの長友佑都が、大迫のポストプレーを生かしてペナルティエリア内まで侵入し、グラウンダーのクロスをゴール前へ送る。前半はFWを追い越す動きの少なかったインサイドハーフの今野と倉田が、ゴール前へ詰めていく。
後半から3トップの右ウイングに入った本田圭佑も、ニアサイドへ走り込んでいた。ダイナミックな動き出しが相手のマークに揺らぎを生じさせ、ファーサイドから詰めた今野の同点弾につながったのだ。
「個」の力を見せたのは乾貴士である。原口元気に代わって同点直後に投入された29歳は、得意のドリブルであっという間に左サイドを制圧する。乾の登場以降にペナルティエリア内のシュートが増えていったのは、彼の仕掛けによって相手守備陣のバランスを崩したことが大きい。30分強のプレー時間で、強烈なインパクトを記した。
最終予選のグループBで首位に立っているとはいえ、13日のイラク戦は勝点3が欲しい一戦だ。中立地テヘランで勝利をつかみ取るゲームプランを、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は固めることができたのだろうか。
GK川島永嗣を含めた最終ラインは、シリア戦が踏襲されるはずだ。3トップも右から久保裕也、大迫、原口のままでいいだろう。この日は前半で退いた久保も、コンディションが改善される余地はある。
「インサイドハーフ本田」という新オプション。
ポイントは中盤だ。アンカーにはシリア戦と同様に山口蛍が指名されるはずだが、インサイドハーフに本田を起用するオプションが浮上してきた。
シリア戦の後半途中で、ハリルホジッチ監督は今野を下げて浅野拓磨を投入した。浅野は右ウイングに入り、本田が右インサイドハーフへポジションを変える。
中盤へポジションを移した背番号4は、中央でもボールをさばきながらゴール前へ飛び出していった。決定機を2度逃したのは本田らしくないが、どちらも利き足ではない右足のシュートである。ボールを落ち着かせるだけでなく、ここぞというシーンでチャンスに絡んできたのは、シリア戦がテストマッチだったとしても興味深い事実だ。