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最多勝争う東浜巨と「工藤塾」。
毎日の筋肉痛で取り戻した快速球。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2017/06/06 12:00
ドラゴンズ戦のヒーローインタビューで上林(左)から汗をぬぐわれる東浜。表情が豊かになったのも、結果が出ているからこそだ。
毎日が筋肉痛になるほどの「工藤塾」で飛躍。
その東浜を覚醒させたのは「工藤塾」だ。3年目オフの秋季キャンプより強化指定選手となり、工藤公康監督の知見の入った特別メニューに取り組んだことが飛躍につながった。
驚くのは、そのトレーニングがシーズン中も行われていたことだった。昨年は多くを先発ローテの一角として過ごしたが、その日々は「調整」などと呼べるものではなかった。一般的な中6日の登板間隔の場合、通常ならば1度のブルペン投球を2度行ったり、ウエイトトレーニングが3日も組み込まれたりする。
「毎日が筋肉痛でした。監督からは『登板日が一番ラクだろ』と言われていましたし、実際にそうでした」
その甲斐あって、東浜は真っ直ぐの威力を取り戻した。昨年すでにプロ入り後初の150キロもマークしている。
指揮官は「去年と変えないよ。変える必要、ある?」
そして今年だ。
昨年とは状況が違う。昨年は開幕二軍スタートで鍛える日々を送る中で4月中旬に一軍チャンスをつかみ、そのままの流れでシーズンを過ごした。だが、今年は開幕前からばりばりのローテ候補である。
それでも工藤監督はにやりと笑って予告した。
「去年と変えないよ。変える必要ある? まだまだだよ」
東浜によれば、昨年以上のトレーニングを積んでいる最中だという。負荷も回数も増している。
「去年からずっとやっているんで慣れたのか、もう筋肉痛で悩むことはないですね。体は元気です。試合の後半になっても、今年は球威が落ちない感じがあります。自分で感じる成長といえば、そこですかね」