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矢島慎也、浦和で出場はまだ5分間。
「秋まで我慢っていう流れには……」
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/05/03 11:30
ボランチでの出場を希望している矢島慎也が、そこには阿部勇樹と柏木陽介という浦和の中心が君臨している。果たして。
出場機会が少ないのは、練習時間を増やすチャンス。
だからこそ、「出場機会がない選手が意識を高く保つのは難しいんですよ」と話しつつも、自身を磨き上げることに必死になっている。その1つが、筋力トレーニングの回数を増やしたことだ。岡山時代は試合への影響を考えて週2回程度だったが、その回数を増やした。そこには浦和ユース時代の同期で共にトップ昇格し、現在はJ3のAC長野パルセイロでプレーするMF野崎雅也との会話もキッカケにあったという。
「(野崎)雅也とも話すんですけど、イスコ(レアル・マドリー)もあんまり出場機会無いじゃないですか。でも、時々出てくればうまいし、結果を出す。雅也が『あいつケツでかくなったよね』って。世界的にも出場機会がない選手は何かやっているんだろう、俺もやった方が良いんじゃないかなって」
我々のような取材する立場は「いつか来るチャンスのために」と、つい定型文のように書いてしまう。矢島自身も「お互いにそう言うしかないですもんね」と苦笑いする。
だが彼には、「岡山でやってきて、自分の基盤になったものを台無しにするわけにはいかない」という強い思いが生まれている。3年前のように落ち込み、ネガティブな空気を感じさせる姿は見せていないし、これからもそうはならないだろう。
「何のためにやるかと言われれば、試合のためにやるので」
矢島は、自己満足のためにトレーニングを積み重ねているわけではない。あくまでも、その成果を公式戦のピッチで表現するためだ。秋まで待てないなら、その前にチャンスを掴み取る。
「こいつを使ってみたい」と思わせる。その心は、決して折れていない。