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大迫傑、初マラソン3位のインパクト。
日本陸上の非常識は米国では常識? 

text by

金哲彦

金哲彦Tetsuhiko Kin

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photograph byShota Matsumoto

posted2017/04/21 11:30

大迫傑、初マラソン3位のインパクト。日本陸上の非常識は米国では常識?<Number Web> photograph by Shota Matsumoto

ペースメーカーのいないボストンマラソンで快走を見せた大迫。2時間9分37秒で1位となったジェフリー・キルイと51秒差でゴールした。

残り5kmのラップタイムでも大迫の真骨頂が!

 しかし、大迫の真骨頂はここからだった。

 現状の順位をキープするのではなく3位まで上げ、マラソンで最も辛い残り5kmをしっかりまとめたのだ。

<35~40kmのラップタイム>
1位 キルイ  14分34秒
2位 ラップ  14分55秒
3位 大迫   15分07秒

 フィニッシュタイムは2時間10分28秒。リオオリンピック銅メダルのラップとわずか30秒差だった。初マラソンながら、スピードだけではないポテンシャルの高さを見せてくれた。

 大迫はナイキ・オレゴンプロジェクトに参加して2年、プロとしてのプレッシャーもある。しかし、日本とはまったく違う極秘の仕様書でトレーニングを積む大迫は、まさに進化過程の路線に乗っている。

 日本の男子マラソンを牽引する役割は、これから大迫が担うことが予想される。今回の大迫の走りで他の選手が受けた刺激も強烈なはずだ。

 注目度が高い伝統のボストンマラソンをデビュー戦に選んだ見事な戦略。ナイキ・オレゴンプロジェクトを率いるサラザールさんは流石だな、といったところだ。

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