猛牛のささやきBACK NUMBER
オリックス守備力アップのキーマン。
駿太は打球方向を読み切って守る。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2017/03/24 11:30
12球団屈指の守備力に、打力が追いついてくるか。プロ7年目の駿太にとって勝負のシーズンになる。
駿太が指示すると、その通りに打球が飛んでくる。
吉田正は、「駿太さんの守備は信頼しています。(指示の)意図はだいたいわかります。そういうアドバイスをしっかり頭に入れて、自分で動けるようになっていきたい」と学ぶ意欲を見せる。
今年、守備固めで出場する機会が増えている21歳の吉田雄人も「駿太さんはすごい。1球1球(指示が)変わって、その通りに飛んでくるので」と驚く。
打者の心理、投手の性格を見極める観察眼を活かして。
駿太の判断材料はデータよりも観察眼にある。
「データはあくまでも確率。ここに確率よく飛んできますよというヒントなだけで、自分で感じているわけではないから、僕はあまり信用していないんです。それよりも、自分をバッターの立場に置き換えて考えるということを昔からやっています。『自分がバッターで、今の球をああいうふうに見逃す時って、どういう心理でいる時かな』というふうに。
例えば、低めのいいフォークを簡単に見逃した時って、僕だったらたぶんまっすぐを打ちにいけていない時だなと思う。もしまっすぐを捉えたいと思っていたら、たぶんもっと激しく見逃すか、バットが出ちゃうと思う。それを簡単に見逃すということは、まっすぐを強引に行く心理はないから、引っ張りは、浮いた変化球以外はないんだろうな、と。あとはカウントを見て、速い球があるかどうかを判断して指示を出したり、自分も動いたり。常にバッターのしぐさばかり見ていますよ」
加えて投手の性格も大きな判断材料になるという。
「この人は私生活からイライラするタイプだから、アップアップになった時に甘い球が行くんだろうな」、「この人は常に冷静なタイプ。こういう場面でも冷静に判断して投げられるから、投げミスも少ないだろうな」といった分析を活かす。