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代表選考前にハリルホジッチを直撃。
「本田や香川は出ていないが……」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byAFLO
posted2017/03/15 17:00
Jリーグの試合(柏vs.G大阪)を視察するハリルホジッチ監督。左端は西野朗技術委員長、右端は浜野征哉GKコーチ。
横にパスを出す選手を、彼は選ばない。
攻撃では、できるだけ速く前に進む。
横パスの相手を探すのではなく、スピーディに縦に楔を入れる。あるいは裏を狙う。
さらには、前線でアグレッシブに仕掛けているかどうか。
「それが私の描いた日本サッカーのアイデンティティだ。選手たちがパフォーマンスでそれを見せているかどうかを、私たちは観察している。試合の翌日には、コーチングスタッフでミーティングを開きすべてを報告し合う。その結果として色分けした点数をつけている」
問題は、選手のパフォーマンスが思うように上がっていないことだ。
話を聞いた前の節の試合では、海外組、国内組の51人のフィールドプレイヤーのうち、最高点の青を獲得したのはただひとりにすぎなかった(その選手が誰なのか、現状では教えてくれなかった)。
「通常であれば私は彼らを選ばない」
だが、そんな状況でも、彼は56人から30人に候補を絞り込んだ。選ばれたのは調子のいい選手たち、試合に出場し続けている選手たちだが、例外もあるという。
「本田や香川は出ていないし、清武も帰国したが怪我で欠場し、まだプレーしていない(その後、J第3節で出場)。加えて長友や川島、岡崎……。何年にもわたり代表の中心だった6人が試合から遠ざかっている。
通常であれば私は彼らを選ばない。
しかし彼らを代えるのは問題ないが、では誰と代えるのか。しかも、それが5~6人となると、とても簡単にはいかない。それに若い選手たちはピッチで震えてしまう」
UAE戦は、アルアインの小さなスタジアムでおこなわれる。昨年のACL決勝となったアルアインvs.全北現代の試合を見たハリルホジッチは、そのときの様子を語る。
「スタンドからのプレッシャーと罵声は本当に凄く、そこを考えたときに経験のある選手が必要だ。だが、試合に出ていない選手はトップコンディションにはない。もちろんトレーニングをしていて、いつでも大丈夫と言っているが、どんなトレーニングも試合の代わりにはならない。だからこそメンタルの強さが必要だ」