球体とリズムBACK NUMBER
ACL1勝につきボーナス5000万円!
中国勢の「札束を燃やす」強化策。
posted2017/03/13 08:00
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Getty Images
今週、Jリーグ勢3チームが万里の長城さながらの険しき山場に挑む。
3月14、15日に行われるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)第3節で、川崎フロンターレは広州恒大、浦和レッズは上海上港とのアウェー戦に臨み、ガンバ大阪は江蘇蘇寧をホームで迎え撃つのだ。
中国スーパーリーグ(CSL)のクラブはこの冬の移籍市場でも、世界中からスター選手を乱獲した。彼らが投じた移籍金の総額は推定3億9000万ユーロ(約475億円)で、過去最高を記録しただけでなく、イングランド・プレミアリーグ勢の約1.5倍、リーガ・エスパニョーラ勢の約16倍に上る。昨年に続き、この時期に世界で最も多くの移籍金を費やしたのである。
ただし、その最中に中国政府はCSLクラブのそうした振る舞いを「札束を燃やしているようだ」と警告し、リーグは移籍市場が閉じる前に今季の外国籍選手枠を減らした。それまではリーグ戦に4人の外国籍選手と1人のアジア人選手を起用できたが、現在は3人のみ(登録は4人と1人まで可能)。加えて、23歳以下の中国人選手を先発させねばならなくなった。
上海上港にはフッキとオスカル、カルバーリョが在籍。
各クラブの経営者たちは、フットボールを愛でる習近平国家主席に取り入るのが主な目的だっただけに、最新の意向を受けてトーンダウン。しかし現場は困惑を隠せず、上海上港のアンドレ・ビラスボアス監督は「新たなルールが急に決まって残念だ。物事には順序があり、ことを急いてはうまくいかない」と愚痴をこぼしている。
ともあれ、彼らが複数のワールドクラスを保有する強豪という事実に変わりはない。なかでもその上海上港には、フッキとオスカルの元セレソンコンビに、エウケソンを加えたブラジル人トリオだけでなく、元ポルトガル代表DFリカルド・カルバーリョとウズベキスタン代表で主将を務めるオディル・アフメドフが名を連ねる。
リーグ戦ではこのうち3人しか起用できないのだから指揮官のぼやきも理解できるが、ACLのレギュレーションは「3+1」。つまり昨季のCSLと同じくアジア人枠があるため、アフメドフを含めた4人が出場できる。