球体とリズムBACK NUMBER
札幌の魂・河合竜二のマリノス愛。
古巣に伝える「まだやってますよ」。
text by

井川洋一Yoichi Igawa
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/03/03 11:00

一般的な知名度が高いのは小野伸二と稲本潤一だろう。しかしクラブの苦楽の歴史を知る河合こそ、今の札幌を象徴する選手である。
「人生が変わった」チャンピオンシップの決勝点。
今週末の第2節では、河合のもうひとつの古巣、横浜とのアウェー戦が組まれている。
岡田武史監督のもとで2003年からJ1を連覇した際、彼は要所で秀逸な働きを見せた。とりわけ2004年のチャンピオンシップ第1戦では、試合唯一の得点を決めて勝利の立役者となり、「あれで人生が変わった」と述懐する。そんな“もうひとつの心のクラブ”との対戦には、並々ならぬ想いを抱いている。
「もちろん、めちゃめちゃ出たいよ」と口癖の強意をともなって、河合は言う。「日程が決まった時、このカードを最初にチェックしたくらい(笑)。マリノスは、自分が選手としても人間としても、大きく成長させてもらったクラブ。だから、『まだやっていますよ、まだまだやりますよ』という姿を見てもらいたい」
「学がキャプテンになったのは驚きだったけど……」
ADVERTISEMENT
プロになって初めてキャプテンを任されたのも、横浜でのこと。特別な思い入れのあるクラブだけに、「弱いマリノスは見たくない」と言うが、今季の横浜にその心配はなさそうだ。
横浜はオフにひと騒動あったものの、開幕戦では優勝候補のひとつに数えられる浦和を撃破。特に誰にも止められなかった齋藤学のドリブルには、札幌も手を焼くことになりそうだ。
「学がキャプテンになったのは驚きだったけど、責任を負うことで成長するタイプかもしれないね」と河合はかつての後輩の成長を喜んでいた。
とはいえ、その相手エースを封じなければ、勝利は遠のいていくだろう。自身に出場機会があれば、「周りを動かしながら、ボールの取りどころを決めていきたい」と対策も考えている。また彼個人としては、一昨年から取り入れている元陸上選手の指導によって「少なくとも自分では速くなった」と感じている走力を発揮して、スピーディーな横浜の攻撃に対抗するつもりだ。
敵地にホームのような空気をつくるサポーターの後押しとともに。