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東京マラソン、超ハイペースの理由。
設楽悠太は日本一より世界一を狙う。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byKyodo News
posted2017/02/27 17:10
38km付近を通過していく井上(左)、ヨハネス・ゲブレゲルギシュ(エリトリア)、設楽。ここからの伸びが、設楽の今後の課題となる。
設楽「もっと記録も伸びてくると思います」
結果だけを見れば、高速コースということもあり、初マラソンとはいえ、設楽の実績を考えると物足りない部分もある。
日本人3番手という順位では、今夏のロンドン世界陸上への出場も限りなく難しくなった。最初から世界記録を上回るような高速ペースで突っ込んでいくという走りにも、賛否両論があるのも理解できる。
それでも今大会を最も盛り上げた日本人選手は、間違いなく設楽だろう。自身でも
「前半あれだけ行けたのは良かったです。意外と行けるな、と思ったんですけど……やっぱり甘くなかったです(苦笑)。これまで練習で35km以上は走っていなかったので、40kmを何度か走って後半粘れれば、もっと記録も伸びてくると思います」
と、厳しさとともに手応えも掴んでいる。
一方で、だからこそ、と思う。
日本人がレースを引っ張るような強気な展開が見たい!
今回の走りを「初マラソンだから」で終わらせないで欲しい。
初マラソンで積極的なレースを見せたものの、「魔の30km」以降を経験したことで「勝負」に出られなくなっていくランナーも多い。もちろん、設楽にしても、今回の経験から前半を自重し、後半に追い上げていくような走り方もあるだろう。
だが、そのレースで世界と伍するのは、やはり難しいのではないか。
ラストのスピードで勝るアフリカ勢と「勝負」をするならば、序盤から先頭集団で食らいついていき、早めのスパートで引き離していく以外にないように思う。
大会毎に条件は違うとはいえ、世界大会の舞台では、最初に先頭から引き離されながらメダル争いをするというのはほとんど考えにくいからだ。
加えて、やはり多くのマラソンファンとしても、世界トップの選手としのぎを削る、日本人選手の“強気のレース”を見たいという想いもあるのではないだろうか。