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東京マラソン、超ハイペースの理由。
設楽悠太は日本一より世界一を狙う。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byKyodo News
posted2017/02/27 17:10
38km付近を通過していく井上(左)、ヨハネス・ゲブレゲルギシュ(エリトリア)、設楽。ここからの伸びが、設楽の今後の課題となる。
設楽以外にも、村山、一色、大迫ら若手が成長中!
そういえば以前、設楽が所属していた東洋大学陸上競技部の酒井俊幸監督はこんなことを言っていた。
「(啓太、悠太の)設楽兄弟は『五輪』や『世界』といった、明確な目標を決めて向かって来たというより、一歩ずつ力をつけてきたら、結果的に高い所に来てしまった、という感じなんです。明らかに五輪や世界を意識していた服部(勇馬、弾馬)兄弟とはその辺りが違うんです――」
先の大舞台を夢見ての計算された走りではなく、上のレベルの選手に臆することなく愚直に食らいつく。まさに今回の設楽の走りの「原点」ではないだろうか。
そして、そんな走りを続けることこそが、絶望的なまでに開いてしまった世界との差を、少しずつでも埋めていくきっかけとなるような気がしている。
設楽や井上らと同世代の村山謙太(24歳/旭化成)も、昨年度の東京マラソンで前半から積極的なレースを見せた。
この後、3月5日のびわ湖毎日では、青学大のエース・一色恭志(22歳)が2度目のマラソンに挑む。
さらに4月17日のボストンマラソンには、5000mで日本記録を持つ、大迫傑(25歳/ナイキ・オレゴン・プロジェクト)も満を持しての初マラソンへの参戦を表明している。
3年後に迫った東京五輪へ向け、若い世代の彼らは世界へどんな爪跡を残してくれるのだろうか。