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武幸四郎、騎手生活で最後の週末。
兄・豊は「うらやましくもありますね」。

posted2017/02/24 17:00

 
武幸四郎、騎手生活で最後の週末。兄・豊は「うらやましくもありますね」。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

引退式は、26日(日)に阪神競馬最終レース終了後のウィナーズサークルで開かれることとなった。

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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Takuya Sugiyama

 難関の調教師試験を、周囲を驚かせるほどの猛勉強を実らせて突破した武幸四郎騎手は、今週末、2月25、26日の阪神競馬場での騎乗がついにラストライド。

 土曜6鞍、日曜7鞍と集まった騎乗依頼に「閉店セールにお客さんがたくさんやってきてくれたみたいな感じですね」と照れ笑いを浮かべたあと、「でも、本当にありがたいことだと思います。いつもと変わらない自然体で臨むつもりですが、そのときにならないと(自分の気持ちがどう動くか)想像がつかないですね」と、すぐに表情を引き締めた。

 丸20年間務め上げた騎手生活を「あっという間でした」と振り返りながら、その顔には最高の形で幕を下ろす覚悟が記されている。

 感慨に浸るのはもう少し先の話。

 日曜の最終レースの後検量を終えるまでは、騎手・武幸四郎を貫き通すつもりだ。

武幸四郎「地獄の日々でした」。

 年にたった一度の調教師試験。

 大した準備もせずに臨んだ最初の受験は、門前払いに近い形で一蹴されてしまった幸四郎だったが、2年目は目の色を変えて勉強に打ち込んだ。

「地獄の日々でした」というのは本人の表現。

 騎手として、毎朝の調教や週末の騎乗に手を抜くわけにはいかない絶対の縛りがあるわけで、昼寝や夜の付き合いから時間を割いて机に向かう毎日。

 中学卒業から競馬学校に入り、そこでの学科の授業以外には勉強というものをしていなかったのが彼の人生だけに、1日5~6時間、長いときで10時間も集中して、面白くもない参考書に釘付けにされるのは想像以上に大変だったことだろう。しかも、サボったところで誰も非難さえしてくれないのだから、自分との戦いは文字通りの地獄だったに違いない。

【次ページ】 調教師を目指すのは「もっと深く馬と関わる」ため。

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