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武幸四郎、騎手生活で最後の週末。
兄・豊は「うらやましくもありますね」。 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2017/02/24 17:00

武幸四郎、騎手生活で最後の週末。兄・豊は「うらやましくもありますね」。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

引退式は、26日(日)に阪神競馬最終レース終了後のウィナーズサークルで開かれることとなった。

調教師を目指すのは「もっと深く馬と関わる」ため。

 武幸四郎が騎手を目指したのは8歳のとき。

「親父が調教師になって、兄貴もジョッキーになった。その前から競馬を見るのが大好きでしたが、兄貴が騎手になったタイミングで、僕も絶対に騎手になる、と勝手に決めたことをハッキリと覚えています」という、強固な意志を持った子供だった。

 そんな彼が調教師転身を目指したのは、「もっと深く馬と関わる仕事を続けたいから」だ。

 近年は騎乗数そのものが目に見えて減っていたが、「だからこそ一頭一頭の馬と毎日付き合って、競馬までとことん工夫できている。こういう関わり方もいいなと思ったのが1つのキッカケです」と、逆境もプラスに変える強さもいつの間にか身につけていた。

引退前日の重賞制覇も十分有り得る!

 騎乗技術は20年間でいまが一番高いところにいる実感がある、と言う。

 それでも調教師を目指して受験勉強に多くの時間を割き、合格をかち取ったことで騎手免許を返上しなければいけない皮肉。

「それはもちろん覚悟ができています。それよりも、今年も受からなかったらまた地獄に戻って行かなくてはならないわけで、そっちの覚悟のほうが大変でした」と、幸四郎は微笑んだ。

 あっという間の20年間でも、その中身の濃さは余人には思いもよらぬものだったはずだ。

 土曜日のメーン、アーリントンカップ(芝1600m、GIII)のミラアイトーン(牡3歳、栗東・池江泰寿厩舎)は、3戦全て幸四郎騎手が騎乗して2勝をマークしているお手馬。

「チャンス十分の馬を最後に用意してもらえた、その感謝の気持ちを結果で表したい」と言う、今週一番の期待馬だ。

 デビュー2日目で重賞制覇('97年のマイラーズカップを、父・武邦彦厩舎のオースミタイクーンで1着!)という世界新記録保持者だけに、引退前日の重賞制覇も現実味があり、しかも絵になりそうだ。

【次ページ】 武豊「騎手として、最高の引き際でしょう」

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