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“Mr.アルビレックス”本間勲の帰還。
新潟の土地柄、美徳そのものな男。 

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大中祐二

大中祐二Yuji Onaka

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photograph byYuji Onaka

posted2017/02/24 16:30

“Mr.アルビレックス”本間勲の帰還。新潟の土地柄、美徳そのものな男。<Number Web> photograph by Yuji Onaka

復帰発表の際に本間は「アルビレックス新潟に関わる人達に会える日が待ち遠しいです」とのコメントを残した。そのクラブ愛は、サポーター誰もが知る。

新潟を愛する人にとって衝撃だった栃木への移籍。

 8月12日、クラブハウスには多くの取材陣が集まっていた。FW川又堅碁の名古屋グランパスへの完全移籍が発表されたからだ。前年J1得点ランク2位に勇躍しながら調子が上がらず、ベンチ外が続いた末の移籍劇。一部メディアは「干された結果」などと書き立てていた。

 だが、新潟にゆかりがある者にとって比べものにならないほど衝撃的だったのは、同じ日に発表された本間の栃木SCへの期限付き移籍である。

 柳下正明監督(現ツエーゲン金沢監督)のもと、当時の新潟で求められていたのは、1人1人がマークの意識を強く持つことだった。1対1で負けず、ボールを奪い切る。バランサータイプの本間にとって、決して得意とするところではなかった。

 それでも試合に絡むために、トレーニングから果敢にチャレンジを続けた。だが、出番は徐々に減り、試合メンバーから外れることも出てきた。

 移籍会見はクラブハウスの応接室で、川又の前にセッティングされた。冒頭、話し始めたものの、すぐさま思いがこみ上げてきた。

「すみません、ちょっと待ってください」

 取材陣に背を向け、壁の方を向くと、ずっと目頭を押さえ続けた。

「J2もJ3も、いい選手とチームはたくさんあるんです」

 栃木では一昨シーズンにJ3降格、昨シーズンはJ2金沢との入れ替え戦まで行きながら、昇格を逃す苦い経験をした。それらも含めて、プラスになったと受け止める。決して負け惜しみなどではなく。

 栃木が昇格に向けてデッドヒートを繰り広げていた昨年10月、本間に話を聞く機会があった。J1残留争いに巻き込まれ、苦戦が続く新潟を励ます応援メッセージをもらうための取材だったが、インタビューも終わり、雑談になったときにふと漏らした。

「J2もJ3も、いい選手はたくさんいるし、いいサッカーをしているチームもたくさんあるんですよ」

 言外に、プレーのしがいを発見できた喜びが漂っていた。

【次ページ】 出番を失った頃、現監督から送られたメッセージ。

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