野球クロスロードBACK NUMBER
打たれてニヤリと笑う男・武田翔太。
WBCで輝く将棋好きの“逆算力”。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNaoya Sanuki
posted2017/02/22 11:30
これまで、日本代表投手として幾度も招集されている武田。日の丸のユニフォームがこれほど似合う投手もいない。
「重圧というより責任感ですかね」
あまり得意ではない変化球に将棋というスパイスを振りかけることによって、それは相手を悩ませる“魔球”へと変貌を遂げた。
今や武田のカーブは、日本のみならず世界をも驚嘆させうる武器と言えるだろう。
世界一奪還を目指すWBC。言うまでもなく負けは許されない。
「重圧というよりは責任感ですかね」と、武田は侍ジャパンへの想いを述べたが、同時にこうも付け加えた。
「『早く勝負したいな』ってワクワク感はありますよ。だって、WBCで勝てたらすごく嬉しいじゃないですか」
右手から放たれたボールがふわりと浮かぶ。
強打者は「待っていました」とばかりにカーブを引っ張り、「見たか!」と拳を挙げてヒットを放った自分を誇示してみせる。
そんな打者のリアクションを眺めながら、マウンド上の武田はニヤリと笑う。