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打たれてニヤリと笑う男・武田翔太。
WBCで輝く将棋好きの“逆算力”。
posted2017/02/22 11:30
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Naoya Sanuki
結果的に、ソフトバンクの武田翔太が選択した道は正しかった。
昨年11月、侍ジャパンの強化試合に選ばれ、今年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)への出場も有力視されていた。本来、そんな立場であれば例年より始動を早めるものだ。しかし、武田はそうしなかった。
「最初は『いつもより1カ月早く始めよう』と思っていたんですよ。けど、言うたらですよ、WBCの開催期間っていつもならオープン戦の時期なんですよ。その頃になれば肩はできあがっているんで、別に焦って仕上げなくても。だから僕は、いつも通りシーズンに合わせてやろうと思うんです」
そうは言っても、シーズンオフはNPBとWBCの公式球を併用しながらトレーニングをするなど、最低限の準備は怠らなかったのも事実だ。
ペナントレースを戦い抜くための調整とWBCで投げる準備。
双方のバランス感覚が武田から焦りを消した。
だからこそ、1月24日に自分がWBC日本代表から漏れても冷静に春季キャンプを迎えることができたし、日本ハムの大谷翔平が怪我で出場を辞退したことで招聘されても、困惑せず現実を受け入れることができたわけだ。
追加招集とは言うが……実績十分の投手である。
言葉は悪いが、武田は「繰り上げ」で代表に選ばれた投手だ。
それでも、侍ジャパンとしての実績は豊富である。
2014年の日米野球で初めて日本代表のユニフォームに袖を通してから、昨年の強化試合まで8試合に登板。20回を投げ、投球回数を上回る22奪三振、防御率1.35と成績は申し分ない。
一部で「キューバとの開幕戦で先発するのでは?」と報道されているように、武田への期待値は高い。