マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
センバツ優勝投手がなぜ大学進学か。
智弁学園・村上の決断を肯定する。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2017/02/07 08:00
志望届を出せばもちろん指名はあっただろうが、大学進学を選んだ智弁学園高校の村上頌樹。その決断の行く末を見届けたい。
せっかくの才能を、開花前に散らさないように。
今は千葉ロッテの絶対的エースの地位を獲得した石川歩。その才能はすでにプロから認められながらも、肝心の本人が自身の野球に確信が持てず、高校、大学とプロ入りを見送って、社会人3年目に「機は熟した」と満を持してのプロ入りに踏み切ったことは、あまり知られていない。
人生はタイミングだ……とそこまで言い切れるほど、こっちも人生がわかっているわけではないが、大切にしてほしいことのトップ3には入ってくるのではないか。
地下資源と同様、“人的資源”も決して豊富とはいえないこの国のスポーツなのだから、せっかくの才能を開花させるタイミングにも心を配って、あたらあわてて開花前に散らしてしまうことのないように。
そして、もう1つ、意地悪な観察者の目から見れば、超優秀な女房役・岡澤智基がいなくなった環境でも、これまで通りのパフォーマンスが発揮できるのか。
快腕・村上頌樹が乗り越えねばならない、もう1つの意外なハードルに注目してみたいと考えている。