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石川遼が4時間アップをする理由。
好スタートの陰に新・肉体調整法。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2017/01/24 07:00
年間通じてのラウンドが求められるプロゴルファーだからこそ。石川は自らの肉体と対話してコンディションを整える。
肉体を芯から強化するというトータルケア。
ほんの一部ではあるが、そんな治療を体験してみたことで、石川が口にした言葉の一つひとつの意味が頷けてきた。
「マッサージでほぐすだけでは筋肉は強くならない」とは、重心を整えた上で体幹を鍛え、筋力を増やし、肉体を芯から強化するというトータルケアを指していたのだ。
「グッドショットを打てたときよりミスショットしたときに、ああ、体のバランスが悪いのかな、体幹が弱いのかなと感じる。僕は腰も膝も悪かったので、傾斜地を歩くのも以前は結構怖かった。でも今は傾斜地を当たり前のように歩ける。周りの筋肉が膝を支えてくれている」
石川が現トレーナーによる治療を開始したのは、米ツアーに正式参戦を始めた2013年からだった。最初のうちは他のケアと併用していた時期もあったが、いろんなトライアルを繰り返した末、今は短時間で高い効果が期待できるこの治療だけに絞っている。
スイング練習の時間以上に、体のケアや筋力強化を。
その一方で、石川自身はスイング練習にかける時間を減らし、体のケアや筋力強化に費やす時間を格段に増やした。
「どのぐらい増やしたか? 倍増どころではなく、それ以上に増やした。腹筋、背筋以外の筋力も鍛えています。その効果が感じられるようになったのは、4カ月か、5カ月ぐらい経ってからかな。体が変わるのには時間がかかります」
試合の日でもスタートの4時間も前からウォーミングアップを開始する背景には、そんな事情と目的と努力があったのだ。
「自分の体を知る。自己治癒力を高める。完成するまでには時間がかかります」