ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
「心のせいにして技術から逃げてた」
10年目・石川遼が向き合う“悪癖”。
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byYoichi Katsuragawa
posted2017/01/25 11:00
衝撃的なプロデビューから約9年を経たとはいえ、石川はまだ25歳。プロゴルファーとして脂の乗ってくる年齢である。
「手が返ってばかりで、全然体が使えてないじゃん」
分析を重ねるうちに、石川は頭に描いてきた自分の動きと、実際のスイングの違いを思い知らされた。
「僕……『ボールは体の回転で飛ばす』って言い続けてきて、自分でもそれをやってるつもりだったんです。でも動画で見たら、他の選手に比べて明らかにフェースローテーションが多い。それで飛ばしているのが、証明されちゃった。自分的には体を使っているつもりだったんだけど『手が返ってばかりで、全然体が使えてないじゃん』って……。自分で研究して、研究しまくって。ちょっとずつ分かった」
手の動き、腕の動き、体全体の動き、クラブの動き。それぞれを精査するうちに、自分が見過ごしていたものに気付くほかなかった。
今季は「21試合目以降の出場」に高いハードルが。
昨年2月に腰椎の故障で戦列を離れた石川は今季、ツアーの公傷制度を利用して復帰した。公傷制度とは怪我で欠場した試合数を、翌シーズンに持ち越せるシステムで、出場可能な試合数の間に規定のフェデックスカップポイント(もしくは賞金)を獲得すれば、シード権を維持することができる。
石川は、昨秋に開幕した2016-17年シーズンでまず20試合の出場権が与えられ、その間に399ポイントを積み上げることが、21試合目以降に出場するためのノルマである。
だが今季は各大会の順位に応じた配分ポイントの比率が変更され、状況は易しいものではなくなった。15位以内で終えた選手は昨年同様のポイントが入るが、16位以下のポイントが減算された。メジャーなどを除く通常の試合で、20位に与えられるポイントは51から45に。30位で41ポイントだったのが、28に。40位の31ポイントは約半分の16になった。
つまり、昨季までに同制度でシードをキープした選手よりも高いハードルが課せられたわけだ。