プレミアリーグの時間BACK NUMBER
マンUが久々に優勝戦線へ参戦か?
イブラは流石、あとはポグバだけ。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2017/01/21 11:00
移籍金にも反映されている「期待度」を思えば、今のポグバはやはり物足りない。
ポグバはまだ125億円という移籍金に見合っていない。
だが、実際には1ポイント獲得にとどまり、再び今季優勝候補として名乗りを上げるには至らなかった。優勝戦線復帰までもう一息、というチーム状態を象徴する存在が、先制機に余裕のあるシュートを外し、その6分後に無謀なハンドで敵にPKを与えたポール・ポグバ。
23歳のフランス代表MFは、世界最高の8900万ポンド(約125億円)という移籍金額を抜きにしても、モウリーニョの下で復興を期すマンUにおける主軸中の主軸となるべき新戦力だ。昨季までのマンUに欠けていた、中盤の「迫力」を強烈に振りまくことのできるダイナミックでテクニカルなMFなのだから。
チーム全体としては、モウリーニョが試行錯誤の末に「主要」と判断したパーツが、4-3-3システムで機能し始めている。GKのダビド・デヘアは、優勝を争えなかった過去3シーズンにも欧州屈指の実力を示してきた守護神。その手前の最終ラインでは、フィル・ジョーンズが戦線復帰したスウォンジー戦からマルコス・ロホとのCBコンビが定着し、闘志溢れる守りを見せるようになった。
35歳という年齢もあって出場機会が限られていたマイケル・キャリックのリーグ戦先発も基本化。自身の脚力の衰えをカバーできるアンデル・エレーラを守備面の相棒に、目ざとく危険の芽を摘み取っては、レンジの広いパスでマイボールを有効活用している。
イブラはプレミアでもイブラだった。
攻撃陣でも、前線中央のイブラヒモビッチが初挑戦のプレミアでも高い決定力を誇示。大物らしくチームにおける自信の源にもなっている。
昨夏に加入したヘンリク・ムヒタリアンも遅まきながら突破力を発揮し始め、後半戦突入前に出場した5試合で、プレミア初ゴールを含む3得点。序盤戦ではモウリーニョに「干されている」との見方もあったが、シーズンを折り返す頃には、初先発した4節マンチェスター・シティ戦(1-2)で最悪の出来だった新顔に無理をさせなかった指揮官は「賢明だった」との声も聞かれた。