プレミアリーグの時間BACK NUMBER
マンUが久々に優勝戦線へ参戦か?
イブラは流石、あとはポグバだけ。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2017/01/21 11:00
移籍金にも反映されている「期待度」を思えば、今のポグバはやはり物足りない。
本人は数字を求められることに否定的。
奇しくも同じ3センター左サイドを定位置として攻撃に注力するポグバも、モウリーニョが認めているように「ゴールを狙える位置に顔を出す」能力と感覚に秀でている。チャンスを逃さない確度ではランパードが上だろうが、難しいチャンスを決める技量ではポグバが優っているとも言える。
もちろん、ランパードと同じペースで得点を重ねることは難しい。モウリーニョも、余計なプレッシャーを与えまいとして、「具体的な数字をターゲットとして与えてはいない」と言っている。だが、移籍金が当時のランパードの8倍である攻撃的MFには、やはりゴールという数字で測れる貢献も求められる。
当のポグバは、リバプール戦後に「ゴールやアシストを当たり前のように期待されるけど、MFの仕事は自分のことよりもチームが優先だから」と、ソーシャルメディアを通じて過度のプレッシャーについてアピールしている。
言っていることは間違ってはいない。フランス代表のチームメイトであるディミトリ・パイエは、「ポールはプレッシャーに悩まされているように見える」とコメントしていた。しかし、モウリーニョが指揮を執るマンUほどのビッグクラブで、自身を中心とするチーム作りが進んでいるのだから、個人の出来を意識されても仕方ない。
ヒーローインタビューでは「強豪の選手にはプレッシャーが付き物」的な発言のあるポグバだが、ビッグゲームで精彩を欠いた後でも、プレッシャーと向き合う姿勢を見せてもらいたいものだ。
イブラのプレッシャー観を学ぶのだ!
幸い、チームメイトには最高の手本がいる。マンUでも余裕を感じさせるイブラヒモビッチは、ポグバがそそくさと通過したとされるリバプール戦後のミックスゾーンで次のように言っている。
「プレッシャーがあるから選手は油断せずにいられる。プレッシャーとは1日中、24時間の付き合いになるわけだ。良いプレーをすれば、要求度が上がってプレッシャーは更に高まる。だが、俺が自分自身にかけているプレッシャーに比べれば、メディアから受けるプレッシャーなど幼稚園レベルでしかない」
プレッシャーに関しても、ポグバが「兄貴分」として慕うイブラヒモビッチに相通じる感覚を身につけた時、モウリーニョのマンUは対戦相手も「恐れ」を認めざるを得ないチームとなる。ポグバという名の新たな心臓部が、敵の強弱を問わず、相手ゴールを脅かす勢いで強烈に鼓動を打つことになるのだから。