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レブロンは「NBA最後の高卒大物」?
米スポーツ界が学歴重視の背景とは。
posted2017/01/26 08:00
text by
林壮一Soichi Hayashi Sr.
photograph by
AFLO
現在、NBAイースタンカンファレンスの首位を走り、2連覇を狙うクリーブランド・キャバリアーズ。同チームのエースにしてNBAの顔でもある“KING”レブロン・ジェームズは、NBA最後の大物高卒選手として認知されている。
2005年、NBAの労使協定では、ドラフトの条件を「19歳以上で高校を卒業してから1年間以上経過した者」とした。レブロンが高校を卒業した2年後のことである。
アメリカで短期大学と4年制大学を卒業し、現在はBリーグ、信州ブレイブウォリアーズのGMを務める片貝雅彦は語る。
「高卒選手がNBAにドラフトされても、レブロンのような成功者は一握りで、数年で解雇されるケースが多いのです。選手の将来を考えると、1年間だけでも大学での経験を積ませ、学位取得の大切さを教える。あるいはNBAでの契約を失った場合、大学に戻って学位を取得しやすい選択肢があった方が良いとの考えを示しているようです。
もちろん反対意見として、軍隊に入って家族を養う高卒の18歳がいるのに、なぜNBAは就職として考えられないのかというものもありますね」
とはいえ、レブロンや、昨シーズン限りで引退したコービー・ブライアントは、圧倒的な技量を持った例外的な成功者だ。彼らの輝きの陰で、数え切れない高卒ルーキーが無名のまま消えている。
実は今季NBA最大の注目を受ける新人は……。
さて、今シーズンのNBAで最も注目を集めるルーキーは、フィラデルフィア・セブンティシクサーズの背番号25、ベン・シモンズである。シモンズは、ルイジアナ州立大学の学生としてNCAAで1シーズンのみプレーし、プロに転向した。
NBA全体のドラフト1位に指名されただけあり、将来を嘱望される彼だが、大学時代、GPAは2.0に満たない成績しか収めていなかった。