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レアルと戦った偉大なる先輩に続け!
母校・米子北の躍進の陰に昌子源アリ。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byTakahito Ando

posted2016/12/21 17:20

レアルと戦った偉大なる先輩に続け!母校・米子北の躍進の陰に昌子源アリ。<Number Web> photograph by Takahito Ando

米子北高・中村真吾監督は試合後、「粘り強い守備陣が勝因」とコメントしている。

「身を投げ出してでも相手より先にボールへ!」

 米子北のCB池澤裕翔は、こう振り返る。

「昌子選手は僕らに『気迫で守ることの重要性』を教えてくれました。僕が一番印象に残ったのが、クロスに対する守備をしている時、『身を投げ出してでも、相手より先にボールに触るんだ』と言っていたこと。その日から、何が何でも先に触ることを意識するようになりました。僕は昌子選手ほど大きくないけど、だからこそ、無理だと思っても最後まで身体を投げ出していかないと相手も怖がらないし、止められないと思っていますので」

 実は今年の米子北は、DFラインに大きな不安を抱えていた。昨年は180cmオーバーのCBコンビが中央に君臨し、強固な壁を築いていた。だが、彼らを含むDFラインのレギュラー4人中3人が卒業してしまい(残った1人が池澤)、DFラインの人材不足に陥ったのだ。

昌子も高1の時にFWからCBにコンバートされていた。

 池澤の身長は176cmだが、スピードと状況判断力があり、その資質を見出されて高1の途中でFWからCBにコンバートされた。その彼が、新チームで守備の要という重責を任されたことになる。

 左サイドバックの村木遵平はFWからのコンバート。他のCBもコンバート組という、本職の選手がCB歴2年弱の池澤のみという状況に、当初は不安定さが否めなかった。

 しかし実は昌子も、高1のときに城市総監督がFWからCBにコンバートし、チームの守備の柱に育て上げた、という経緯がある。池澤もそれと同じ道を辿っているのである。

「とにかく目の前の試合に集中をして、『気迫で守る』ことを心がけたました。カバーリングスピードと裏への対応スピードは自信があったので、そこを活かしながら。試合を重ねるごとに全体がよくなっていることが実感できました」

 池澤の成長に引っ張られるように、彼とコンビを組むCB候補として河田勇希と古屋野雅希の2人がレギュラー争いを繰り広げながら成長している。右は、DF田中宏旺が高いアップダウン能力と献身的なプレーに磨きをかけ、キャプテンとしても精神的な支柱となっていった。左のDF村木も急成長中で、シュートブロックやクリアの質が上がり、運動量を持って献身的なプレーを見せるようになっていた。

【次ページ】 守備陣の安定化で、攻撃陣もより活性化した。

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