“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
レアルと戦った偉大なる先輩に続け!
母校・米子北の躍進の陰に昌子源アリ。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2016/12/21 17:20
米子北高・中村真吾監督は試合後、「粘り強い守備陣が勝因」とコメントしている。
守備陣の安定化で、攻撃陣もより活性化した。
もともとアタッカー陣は全国トップレベルの破壊力を有していた米子北。
長身FW伊藤龍生はターゲットマンになるだけでなく裏へのスピードとシュートセンスを有し、FW崎山誉斗、右MF小橋亮介の2人のドリブラーが積極的にしかけ、左MFの山室昂輝、ボランチの武部雄はキープ力とパスセンスに秀でている。
DFラインの成長は、結果的に個性派揃いのアタッカー陣の攻撃力をより引き出すことに繋がっていた。
プリンスリーグ中国での激戦を経て、徐々に攻守が噛み合って来た今年のチームにとって最後の一押しが、前述した昌子の存在だった。
偉大な先輩が示した“本物の闘争心”。
後輩の彼らが、それをピッチ上で表現してみせたのだ。
東京Vユース、札幌U-18に連勝し、ついに昇格!
プレミアリーグ昇格がかかる、東京Vユースとの一戦。
立ち上がりから東京Vユースを相手に押し込まれ、開始早々の6分に先制点を許してしまう米子北。だが、このゴールで彼らの闘争心に火がついた。
47分に伊藤が同点ゴールを叩き込むと、53分に山室が逆転ゴール。82分には交代出場のFW倉本峻汰がダメ押しゴールを決め、3-1での逆転勝利を収めた。
これで勢いに乗ったチームは、プレミア昇格がかかる札幌U-18との試合で、圧倒的な力を見せつけた。
伊藤と崎山のツートップが起点となって前線をかき回す。
右からMF小橋がスペースに果敢に飛び込み、バイタルエリアを活性化させる。
左MFの山室は、この前線3人の連動をしっかりと視野に入れつつ、ボールを収め、ボランチの武部と共にポゼッションの中軸を担った。
最終ラインは池澤を軸にした積極的なラインコントロールで強力な攻撃陣を力強くバックアップした。
そして89分、倉本が2試合連続のゴールを叩き込み、1点をもぎ取ると、そのまま試合をクローズさせ、1-0で勝利。
この瞬間、チーム初のプレミアリーグ昇格を手にした。