話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
昌子源「センターバックはつらい」
鹿島のDFリーダーは目立ちたがり?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2016/12/07 17:00
昨年から背番号も3になり、鹿島のDFリーダーに就任した昌子源。鹿島の伝統を体現するような男である。
仲間が抜かれても、自分のところで全て止め切る。
しかし、今年のプレーやCSの準決勝の川崎フロンターレ戦、CS決勝の浦和との試合を見る限り、昌子はメンタルの弱さなど微塵も感じさせず、堂々とプレーしていた。
初戦を失って臨んだ第2戦、前半7分に興梠慎三に先制ゴールを決められた。1点は想定内とはいえ、重苦しい空気が流れる。そんな状況でも昌子は関根貴大のスローインに遅れ、苦い表情をしていた左サイドバックの山本に「大丈夫、大丈夫、落ち着いてやろう」と声をかけていた。
その後、前半26分、スルーパスで抜け出した武藤雄樹に決定的なシュートを打たれたが、昌子が必死に体を投げ出し、爪先に当ててはじき出した。1対1で負けないデュエルの力を発揮し、仲間が抜かれた時はカバーして対応した。「俺がやるんだ」という気持ちが入ったプレーで鹿島の守備陣を統率していた。それは、セカンドステージでなかなか勝てずに苦しんだ時に得た答えでもあった。
たぶん、これからもセンターバックとして強固な「鹿島の壁」の中心になっていくだろう。なんだかんだ不満を言いながら、だとしても。
CWCの決勝戦でレアルと戦い、へこんだとしても……。
CS優勝を果たした鹿島だが、シーズンはまだ終わりではない。CWC(クラブW杯)、天皇杯と2つのタイトルを獲得できる可能性がある。
「CSはなんとなく複雑な優勝やったけど、これからCWC、天皇杯があります。そこでしょぼい負け方したら、それこそ『何なの、おまえら』ってなる。個人的にCWCは自分の力がどのくらい通用するのか楽しみやし、そういう大会でもしっかりと結果を出していきたいですね」
CWCでCSのような戦いができれば「決勝戦でレアルと」という目標も十分に達成可能だ。もっともレアル・マドリーとアジアのレベルは、現状まったく違う次元だ。やられてへこむことがあるかもしれないが、大岩コーチがいうようにそれが成長の糧となる。
そうしていろんな経験を積み、すべてを背負えるセンターバックになれた時、尊敬する小笠原満男の後継者として鹿島の伝統を引き継ぐ存在になれるはずだ。