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昌子源「センターバックはつらい」
鹿島のDFリーダーは目立ちたがり?
posted2016/12/07 17:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Kiichi Matsumoto
「夢生(金崎)くん、MVPいいですよね。点取ったし、ヒーローやし。攻撃陣は点取ったらMVPになれるんでね。僕ら1失点はいらんかったけど、ソッコ、(西)大伍くん、脩くん(山本脩斗)も集中して守っていたと思うんで、そこは評価してほしいなと思いますね」
昌子源は、そう言って笑った。
CS決勝の第2戦、浦和レッズとの決戦で2ゴールを挙げて鹿島を逆転優勝に導いた金崎夢生がMVPになった。
エースが得点して勝つ。
チームにとっては最高の勝利パターンだ。昌子も「ここぞ」という時に点を取る金崎の力を認め、リスペクトしている。
ただ、守備陣も最初に失点してから追加点を与えずに耐えた。後半34分、逆転してからは浦和に押し込まれて苦しい展開が続いたが、ファン・ソッコと昌子が跳ね返した。
守備で勝利に貢献しているはずなのに、DFは1点でも失点していると勝ってもさほど評価されず、ほとんど目立たない。攻撃陣においしいところを持っていかれてしまう。それがDFというポジションの宿命なのだが、そういうジレンマは昌子がセンターバックになって以来、ずっと感じていることだった。
FWは1本決めればヒーロー、DFは1点取られれば戦犯。
「センターバックはつらいポジション」
昌子は、自虐的にそう言う。
「たとえば、仕事で試合が見れない人がいて、でも気になるからテキストライブを見るじゃないですか。セットプレーで僕のマークじゃなく、違う選手のマークのミスで失点するとします。テキストは誰々のゴールで0-1って出ますよね。すると映像とか何も見てへんのに『昌子、何してんねん』ってなる。点入れられるだけでそうなるんですよ。
ゲームでも、それまで10本中9本決定的なチャンスを止めていたとするじゃないですか。でも、最後の1本を相手に決められるとボロカス言われる。最終的に火の粉が降り掛かってくるのはセンターバックなんですよ。その逆でいいプレーしても評価があがらん時もある。僕らが必死に守って夢生くんや聖真(土居)がシュートを打っても入らへん。0-0のまま、ロスタイムに入るとするじゃないですか。そこで夢生くんが決めるとヒーローになる。チームが勝つのはうれしいですけど、もうちょっと僕らのがんばりも見てくれよって思うんですよ」