炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープに“当たり前の規格外”が。
記録では語れない菊池涼介の貢献。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/12/06 07:00
真っ先に守備を語られがちだが、2ケタ本塁打を通算3度、盗塁数を4年連続で2ケタに乗せるなど攻撃面でも大きく貢献している。
記録に表れないのは好守だけでなく、犠打や進塁打も。
記録に表れないのは好守だけでなく、自己犠牲の犠打や進塁打もそう。リーグダントツトップの23犠打を記録しながら、181安打で最多安打のタイトルを獲得した。同シーズンに最多安打、最多犠打を同時に記録するのは、史上初。プレーは派手でも、目立たぬ献身性が光る。まさに月見草のような働きだったと言えるのかもしれない。
目立たない中で、菊池は確かな進化を遂げている。入団当初、課題とされてきた正面の打球に対する処理の確実性が格段に上がった。今季失策数は昨年の10個から4個と激減。黒田が「世界一」と認めた守備力で、有効投票数265票中257票という最多得票で4年連続4度目のゴールデングラブ賞を受賞した。
今年は月見草のような立場だったかもしれない。だが、菊池は月見草のままヒマワリのように燦々と輝く光を浴びながら美しい花を咲かせることもできるはず。今オフ、珍しくチームの先頭に立っていくことを明言している。冬を越えて、やってくる春の訪れが待ち遠しい。