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「ガムシャラさ」によりかからない。
状況判断こそが久保建英の特別さ。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/11/07 17:30
フィジカルは年齢と共に着実に向上する。久保建英が、目先ではなく長期的なスパンで成長する環境に恵まれることを願わずにはいられない。
仲間にプレーをわかってもらうには時間がかかる。
「最初にグラウンドに入ったとき、すごく大きいなと感じました。後半から試合に出て、最初はすごい緊張して、ゲームに入ったら身体はいつもどおり動いたんですけど、相手チームも自分のチームの選手も、自分がいままでプレーしてきたところよりトップスピードが速くて、ボールがなかなか足元につきませんでした。シュートも打てていませんし、攻めにもほとんど絡んでいませんので、何もできずに時間だけが過ぎてしまったという感じです」
後半のFC東京U-23は1点を返し、前半に比べるとボールもまわるようになった。ただ、攻撃にスムーズさをもたらした理由には、久保の登場ではなく選手の立ち位置の変化があげられるだろう。
デビュー戦ならではの難しさもあった。コンビネーションが確立されていなかったのだ。
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中盤でマッチアップするシーンもあった長野パルセイロの橋本英郎は、「まだチームメイトにプレーを分かってもらえていなかったのかな、と思います」と久保の印象を語った。
日本代表でのプレー経験もある37歳のMFは、「FC東京U-23は追いかける展開だったので、途中から入ってきた久保くんが攻撃を引っ張らないといけない状況もあったんじゃないですか」と付け加えた。
「何回か欲しいなという場面はあったんですけど」
他ならぬ久保自身も、コンビネーション不足は感じている。2列目の右サイドから中央へポジションを移したり、左サイドへ流れたりもしてボールを引き出そうとしたが、なかなか受けることはできなかった。
「何回か欲しいなという場面はあったんですけど」と遠慮気味に話しながらも、「逆に、他の選手たちが欲しいタイミングでパスを出せていなかったときとか、ボールを取られちゃダメなところで取られたり、というのもあったので」と、久保は反省を口にした。この日のメンバーと継続的に練習をしているわけではないので、コンビネーションの欠如は避けがたいものだった。