話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
湘南にあって、名古屋にない「希望」。
スタイルを創るのは今しかない!
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/11/04 13:10
田中マルクス闘莉王が復帰してから、勝ち点差7を詰めてきた。スタジアムでは「ありがとう」という声が響いていた。
セカンドステージ、逆転勝ちは1試合もなかった。
そして、今季の名古屋の終わりを象徴するシーンが生まれた。闘莉王が山田にボールを奪われて3点目を奪われたのだ。
闘莉王は復帰の要請に応じてブラジルから戻り、9月10日の新潟戦から戦列に加わった。勝利に貢献し、残留の希望の星になった。
もっと早く闘莉王がいてくれたらと誰もが思ったに違いないが、そもそも闘将は昨年、必要な戦力としてみなされず、契約を更新されなかった選手だ。その選手が名古屋の中で一番戦っていた姿を見ると、果たしてチーム戦力を冷静に分析した上での判断だったのかが疑問として浮かぶ。チームの窮状に駆け付けた闘将は、7試合目にして刀折れ矢尽きてしまった。
この3点目は、名古屋にとって致命的だった。
セカンドステージは、17試合で14得点しか取れていない。複数点を取ったのは、仙台戦(2-1)と福岡戦(5-0)の2試合だけ。しかもその試合はいずれも先制して逃げ切るパターンで、逆転勝ちした試合は1試合もなかった。
選手の動きから、気持ちが落ちているのが目に見えてわかる。
スタジアムのサポーターからは「もっと必死に走れるよ」と声が飛ぶが、そのままなす術なく名古屋は敗れた。
楢崎「闘莉王が入って変えてくれたけど……」
「試合での堅さはあるにしても、試合の進め方とかサッカーの質で上回ることができなかった。ボスコさん(ボスコ・ジュロヴスキー監督)がきて、闘莉王が入ってガラっと変えてくれて感謝していますけど、まだまだ足りなかった、最初からやっていた僕らが力不足だった」
楢崎正剛は、そういって肩を落とした。
厳しいことを言えば、どんな状況であれ、J2降格が決まっている湘南に勝てなかったのは楢崎がいうように単純に力がなかったということだろう。