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伊藤華英が語るこの「微妙な時期」。
リオが終わり、東京までは4年間。
posted2016/10/25 11:00
text by
伊藤華英Hanae Ito
photograph by
JMPA
リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックが閉幕し、約1カ月が経った。
ビッグイベントが終了した今、オリンピック選手、パラリンピック選手たちはなにを考えているのだろう。
アスリートの立場というのは、過酷なものだ。特にオリンピック・パラリンピックを目指す選手は、4年にたった1度しかないチャンスをものにする必要がある。
競泳の場合は、オリンピックイヤーの日本選手権で各種目上位2名に入り、かつ日本水泳連盟が定めた派遣標準記録を決勝の舞台で突破しなければならない。大舞台は、一発勝負の過酷な選考会を勝ち抜いた先に待っているのだ。
ある選手が、オリンピックまでの2年間は買い物にも行かなかったと話しているのを聞いたことがある。また、ほとんどの選手は色んな欲求を抑えて生活している。
特に時間のマネージメントはタイトだ。友人と会う時間や、食事、睡眠、体調を整えるケア。全ての時間が、パフォーマンスのために組み上げられている。
全てを一点に集中させてこそ好成績が生まれることを、アスリートは知っている。それでもなお、4年間思い続けた舞台を目の前にして、最高のパフォーマンスが出来る選手は一握りしかいない。
今回のリオデジャネイロオリンピックで、日本は41個のメダルを獲得した。金メダルが12個、銀メダルは8個、銅メダルは21個。合計数はロンドンを超え、史上最高数を記録した。
瀬戸「萩野選手は4年間しっかり準備していた」
萩野公介選手が、400m個人メドレーで金メダル、瀬戸大也選手が同種目で銅メダルを獲得してダブル表彰台に輝いたのは記憶に新しいが、そのあとの瀬戸選手のインタビューも印象的だった。
「萩野選手は4年間しっかり準備していたので、僕も次はしっかり東京オリンピックまで準備をしたいです。悔しいオリンピックになりました」
ライバル対決と評され、お互いを意識しあう状況でオリンピックを迎えた2人だが、実はスタートラインは大きく違った。萩野選手はロンドンの銅メダリストで、瀬戸選手はオリンピック自体が初出場。世界選手権では金メダルを獲得しているが、この経験の差は想像以上に大きかったのかもしれない。