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ベンゲルがイングランド代表監督に!?
前任者のスキャンダル退任が好機に。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2016/10/08 08:00

ベンゲルがイングランド代表監督に!?前任者のスキャンダル退任が好機に。<Number Web> photograph by Getty Images

アーセナルで1000試合以上の指揮をとるベンゲルは、まさにレジェンド。イングランド代表にとっては最高の適任者だが……。

ベンゲル就任を阻むのは試合前の国歌問題?

 肝心のベンゲル自身も、就任の可能性を否定していない。「まずはイングランド人の後任を探すべき。フランス人の私には違和感がある」と発言してもいるが、その理由は「フランスと対戦した場合、相手である祖国の国歌を歌うことは憚られるが、かといってイングランドの国歌を歌うわけにもいかない」という程度のもの。

 一方では、「20年も過ごせばロンドンに戻って来た時に『帰ってきた』と感じる」とも言っている。招聘実現には今季終了まで辛抱が必要だが、幸いW杯予選では組分けに恵まれた。暫定体制継続でも、マルタの後はスロベニア、スコットランド、リトアニアと続く来年5月末までの予選前半戦で、イングランドがロシア行きに致命的なダメージを負うとは考え難い。

今回こそが、ベンゲル招聘の最初で最後のチャンス。

 もちろん、ベンゲルがアーセナルと新契約する線もないわけではない。黒星発進から立ち直ったチームは、10月2日の7節バーンリー戦(1-0)でリーグ戦5連勝。指揮官は9月の時点で「我々は優勝候補の一員」と、今季の先行きに自信を覗かせている。

 それでも、3シーズン前に「無冠なら去る」と口にした老将は、現行契約を最後にアーセナルのベンチに別れを告げるように思えてならない。“ベンゲル・ファン”が揃う経営陣は続投を望むのだろうが、当人が変化を望めば素直にその意思を尊重せざるを得ない。

 ベンゲルを信じて止まない多くのアーセナル・サポーターたちも、就任満20年の節目を迎えた今季に成果を残せば、美しい体制変更の潮時と考えるのではないだろうか。CL出場権獲得のみという結果が繰り返された場合、あるいはトップ4漏れという失敗に終わった場合には、年々ファンの中に数を増している「反ベンゲル派」にとっても好都合だ。

 リーグ優勝のない日々に不満を募らせていても、過去の功績の大きさから「クビ」ではなく「身を引いて下さい」と訴える程度に留まっている彼らが、栄えある代表監督の座へと送り出す形でベンゲルの背中を見送ることができるのだから。

 アラダイスの失態で完全に面目を失ったイングランドだが、代わりに現状では最も理想に近い、前監督を凌ぐ適任者を指揮官に迎える千載一遇のチャンスを得たと言える。そして今回こそが、そのベンゲル招聘を実現させる最初で最後の現実的なチャンスだ。

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