“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
久保建英でもサブ組に回る競争原理。
U-16代表が醸す“俺を出せ”オーラ。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byAFLO
posted2016/09/20 17:00
ベトナム戦で7-0、キルギス戦では8-0。久保を筆頭にU-16日本代表はここまで圧倒的な攻撃力を見せている。
闘争本能を燃やしたのはサブ組に回った久保も同じ。
さらに「ベトナム戦のFW陣の活躍を見て、火がつきました?」と聞くと、少し笑顔を見せて「はい、もちろんです」と頼もしい返事が返って来た。
そして、この前日練習でもう一人、ギラギラと闘争本能を燃やしている選手がいた。それがベトナム戦で今大会のオープニングゴールを含む2ゴール1アシストを記録した久保だった。この日、久保はサブ組としてトレーニングをしていた。紅白戦でも久保が積極的に声を出し、ボールを要求したり、周りと連携を確認したりと、端から見ていても「試合に出る」という強い気持ちがひしひしと伝わって来た。
そして迎えたキルギス戦。レギュラー組だった棚橋と鈴木はもちろん、サブ組だった久保が、レギュラー組だった選手と入れ替わる形でスタメンに名を連ねた。
棚橋がハットトリック、久保と中村ともに2ゴール。
このスタメン起用に、3人はしっかりと結果で示した。立ち上がりはキルギスのパワーに押し込まれる苦しい時間帯が続いたが、34分に棚橋が左サイドに届いたパスに反応しダッシュ。DFが先にボールに到達をしたが、外にクリアしようとしたボールを身体でブロックし、そのままマイボールにすると、GKとの1対1を制して、強烈なシュートを叩き込んだ。この棚橋のゴールを皮切りに、2試合連続のゴールラッシュをスタートさせると、そのままこの試合でハットトリックを達成。1アシストも記録し、文句無しの勝利の立役者となった。
久保も棚橋の先制弾で掴んだ流れを確固たるものにする追加点を8分後に奪うと、4点目をアシスト。ラストの8点目も挙げて、2試合連続の2ゴール1アシスト。前日練習で気迫溢れるプレーを見せていた鈴木も、最初は右MF、途中から左MFとして両サイドで起点を作るだけでなく、自らの突破で得たPKを決めて、1ゴールをマークした。
そして、悔しさと決意を持ってこの試合に挑んだのはこの2人だけではなかった。「前回点を取れなくて、悔しかった思いがあった」と、ベトナム戦ノーゴールの中村も、2ゴールを叩き出し、これでFW陣全員がゴールを記録することとなった。