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岩隈との交渉決裂が逆に良かった!?
弱小アスレチックスの巧妙な補強術。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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posted2011/01/26 10:30

岩隈との交渉決裂が逆に良かった!?弱小アスレチックスの巧妙な補強術。<Number Web> photograph by KYODO

ポスティング制度での交渉が決裂した岩隈は、昨年末楽天と年俸3億円+出来高で契約更改を終えた

岩隈との交渉決裂が逆にチームにとってプラスに?

 さらに、かつてのアスレチックスで先発陣の一角を成していたリッチ・ハーデンとも再び1年契約で合意している。

 先発陣の補強として考えていた岩隈獲得に失敗したことなどまるで無かったかのように、今では逆に先発5番手候補まですでに埋まっている状態なのだ。

 今シーズンも余程のことがない限り投手陣は安泰とみていい。

 これらの補強対策を地元メディアも好意的に捉えている。

 サンフランシスコ・クロニクル紙のジョン・シーヘイ記者は「(ア・リーグ西地区で)ベスト・チームではないか?」とその紙面で期待感を寄せている。そして記事の冒頭部分で「ローテーション下位だったかもしれないイワクマに1910万ドルの入札金と数百万ドルを投じてまで契約しなかったことが功を奏したのでは?」とまで論じ、岩隈との交渉決裂自体もチームにとってはプラスだったと匂わせている。

 こうしたアスレチックスの本気度を見るにつけ、一部報道にあったライバルチームへの岩隈入団阻止のために、アスレチックスはポスティング制度に入札したのではないか、という憶測はやはりまったくの見当違いだと思えて仕方がない。

 岩隈サイドが「誠意を感じられなかった」としているのとは対照的に、松井は入団会見で「誠意を感じた」と発言している。

 同じチームを相手に交渉しながら、それぞれ正反対の反応が現れたのはなぜなのか……この交渉の顛末にはどうしても不自然さが残るのだ。

第2の岩隈を出さないためにはどうすれば良いのだろうか?

 ポスティング制度が理想的なものだとは誰一人考えていない。

 だが投資リスクが大きいメジャー側でさえ、「現状よりいい制度があるとは思わない」(ジム・スモールMLBジャパン代表)と考えており、多少の変更はあったとしても当面はFA資格以外で日本人選手がメジャー移籍するにはポスティング制度を利用せざるを得ないだろう。

 だから、今後も第2の岩隈が生まれる可能性は十分にある。

 私自身は、昨年末にTV番組で上原浩治投手が述べていたポスティング制度に対する見解に共感するところが多い。

「ポスティングっていうのはわがまま言って球団がOK出してくれたわけじゃないですか。だから、獲ってもらった球団からどんな提示をされようが行くべきだと思うんですよ。それがポスティングだと思う」

 いずれにせよ今シーズンもアスレチックスは、日本から関心を集め続けることになるのは間違いない。

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