「このタイミングでは一番いいタイム、順位だった」

　メダル獲得に感慨を覚える一方で、コンマ以下の戦いの厳しさを知る山田は、だからこそ、トップと0秒05、2位と0秒01だった決勝のレースもまた、今後のための発奮材料として捉える。

「そこがまだ自分が足りないところです。まだまだ改善する余地はある。逆に金メダルが獲れていたりすると、油断していた。このタイミングでは一番いいタイム、順位だったと思います。今後さらにがんばろうというモチベーションになりました」

　だから視線は、すでに次のパラリンピックへと向いている。

「取り組みが間違っていないことは実感できましたし、さらにいい色のメダルを、またほかの種目でも戦えるように強化を続けたいです」

　速さを追い求め、勝負にこだわり続ける山田拓朗の道は、この先へと果てしなく続いている。