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国枝慎吾、36歳で東京を目指す!
3連覇が潰えた直後の驚くべき言葉。
posted2016/09/14 13:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
完敗だった。
9月13日、車いすテニス男子シングルスの準々決勝が行われた。国枝慎吾はヨアキム・ジェラール(ベルギー)と対戦し、3-6、3-6のストレート負けを喫した。
北京、ロンドンに続く3連覇を狙って臨んだ大会だったが、その夢はベスト8で潰えることになった。
「最後まで相手のパフォーマンスの方が上回ったなと思います」
試合を振り返り、国枝はこう語った。
ジェラールとの過去の対戦成績は国枝の12勝2敗。今年も2度対戦し、ともに勝利している相手だ。その事実からすれば、思わぬ敗退と言える。
だが、今大会は王者という肩書きよりも、チャレンジャーとして挑んだ大会だった。それほどまでにパラリンピックまでの道のりは困難を極めた。
手術後、実戦を重ねられずに大会本番へ。
昨年9月の全米オープンのあと右肘に違和感を覚えた国枝は、今年4月、クリーニング手術を受けた。そこから再起してのリオだった。
実は優勝したロンドンのシーズンにも、手術を行っている。2月に右肘を手術し、そこから復帰しての金メダルであった。
しかし当時と比べても、さらに苦しい状況に追い込まれていたのは否めない。最大の問題は、実戦の少なさである。
ロンドンのときは手術後に20試合以上をこなしてパラリンピックに臨んだが、今回は10試合にも達することができなかった。
しかも今年は、6月の全仏オープンで準決勝敗退に終わったあと、7月のウィンブルドン選手権を欠場するなど、パラリンピック直前の大切な時期に実戦を離れていた。
いかなる実力者であれ、試合勘を取り戻すには時間がかかる。過去の実績とは裏腹に、挑む立場だという自覚は本人にもあっただろう。