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国枝慎吾、36歳で東京を目指す!
3連覇が潰えた直後の驚くべき言葉。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2016/09/14 13:00
長らく守ってきた世界ランク1位も失って、正真正銘の挑戦者としてリオに臨んだ国枝慎吾。しかし彼の目はまだ死んでいない。
「試合勘が完全に戻りきっていなくて……」
それでも初戦となった2回戦では、ダニエル・ロドリゲス(ブラジル)に6-2、6-1。3回戦では董順江(中国)に6-1、6-4とストレート勝ちを重ねて準々決勝へ進んだ。
しかし内容の面では、本来の国枝の出来とは程遠かった。3回戦ではいくつかダブルフォールトもあり、自身のプレーに納得がいかない表情やしぐさを見せる場面もあった。
迎えた準々決勝。国枝のサービスゲームで試合は始まる。第1ゲームから、強風で中断するなど荒れたコンディションで試合は進む。
相手のジェラールがサーブの高い成功率を誇るのに対し、国枝はサーブに苦しむ。象徴的なのは第6、第7ゲームだった。第6ゲーム、ジェラールのサービスゲームをデュースに持ち込んだものの、最後は152kmのサーブを決められてブレークに至らず、逆に第7ゲーム、国枝にダブルフォールトが続いてブレークを許し、このセットの流れは決した。
ストロークでも、持ち味の揺さぶりは発揮できなかった。
「自分の中の試合勘が完全に戻りきっていなくて、この3日間すごく苦労していました。最後まで戻ってこなかったのが少し残念です」
悔しさは、隠し切れなかった。
「ほんとうに苦しい1年でした」
リオに向けて試行錯誤した時間を振り返る言葉には、実感がこもっていた。それでも国枝は、失意に沈むことなくこう口にした。
「若手が伸びてきています。コンディショニング、練習をしっかり積んで、やり直したいです」
パラリンピックはまだ終わっていない!
見据えるのは、2020年の東京パラリンピック。36歳で迎える大舞台だ。
肉体的には、決して楽な4年間にはならない。それでも、すぐに次に目標を切り替えるところに、国枝の真骨頂がある。自身の可能性とさらなる進化を信じているからこその言葉でもある。
ここから再出発し、4年後へどう向かっていくのだろうか。
ただ、リオはまだ終わっていない。斎田悟司と組んだダブルスの3位決定戦が残っている。
対戦相手は、三木拓也・真田卓。
互いをよく知る4者の対戦は、15日に行われる。楽しみな一戦だ。