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上野由岐子「周りに流されちゃダメ」。
SB千賀滉大の胸に“エースの金言”。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/09/15 07:00
投球回を超える奪三振数は剛腕の証。千賀はシーズン通じて先発の座を守りきろうとしている。
無名の若手、育成で頑張っている選手の見本として。
プロ6年目を迎えた今季は、初体験の先発ローテーションをシーズン通して全うしようとしている。9月3日、イーグルス戦では1失点完投勝利を飾り、今季12勝目をマークした。育成ドラフト出身選手としては山口鉄也(巨人)が'08年に記録した11勝を塗り替える白星だった。
「自分はそんな大きなことは言えない。でも、若い選手や育成で頑張っている選手に少しでも刺激になってくれればいい」
9月10日のライオンズ戦では痛恨の黒星を喫したが、まだ今季2敗目である。12勝2敗だ。シーズン最高勝率のタイトルは13勝以上が規定となっている。あと1勝を積み上げれば、自身初のタイトル獲得が見えてくる。また、防御率2.61はパ・リーグ3位、165奪三振は同2位とランキングの上位に名前を連ねている。
それでも、やや地味な印象が拭えないのは、先ほどのようにコメントがいつも控えめだからだろう。
「周りは僕のことを評価してくれますが、自分自身でそんな気持ちはさらさらない。本当に凄い選手というのは、メジャーで活躍するような選手のことを言うんですよ。もし僕が20勝0敗を6年間くらい続けられたら、やっと胸を張るかもしれませんけど……。いや、やっぱり変わらないかな(笑)」