プレミアリーグの時間BACK NUMBER
「控えでも代表招集しなければ……」
イングランド人選手の“内向き志向”。
posted2016/09/10 11:30
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Getty Images
代表ウィークが明け、プレミアリーグが再開される9月2週目。10~12日にかけて行われる第4節の目玉は、その口火を切るマンチェスター・ダービーだ。開幕3連勝中の優勝候補同士の地元対決は、ジョゼ・モウリーニョとペップ・グアルディオラによるプレミア初対決でもある。
超大物外国人を新監督に招いた両軍には、合わせて1チーム分相当11名の新戦力が今夏に獲得された。3年前、「イングランドのサッカー界は方向転換すべきタンカーのようなものだ」と言ったのはFA(協会)のグレッグ・ダイク前会長だが、そのタンカーは方向転換どころか、海外からの積み荷を増している状態だ。
プレミア勢は今夏の移籍市場に総額約12億ポンド(約1800億円)を投じているが、イングランド人獲得に割かれた移籍金はその10分の1程度。いわゆるビッグクラブによる獲得は、マンCのジョン・ストーンズ(前エバートン)とアーセナルのロブ・ホールディング(前ボルトン)の2名しかいない。他は欧州大陸産が大半を占める「輸入品」だ。
W杯予選のイングランド代表「海外組」はひとりだけ。
ADVERTISEMENT
一方、「輸出品」は相変わらず数少ない。EURO2016出場国で唯一、暫定メンバー中にさえ国外ベースの選手がいなかったイングランド代表は、移籍市場閉幕後の去る4日に行われたワールドカップ予選スロバキア戦でも、海外クラブ所属メンバーが1人だけだった。移籍市場最終日にマンCからトリノへと移籍したジョー・ハートだ。代表GKは海外に出た勇気を称えられている。だが、そのハートにしても期限付きの1年間レンタルである。
ハートが開幕前に移籍の意思を固めていれば、残留争いが濃厚なサンダーランドの他にもプレミア勢から引きがあったと考えられ、本人もイタリア行きを決意していたかどうかは怪しい。同じく最終日にアーセナルのジャック・ウィルシャーは、ACミランとローマから誘いがあったとされる中で、ボーンマスへのレンタル移籍を選んでいる。