リオ五輪PRESSBACK NUMBER
「夢は指導者ではなく選手のもの」
競泳・松田と久世コーチの信念とは。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2016/09/11 08:00
幼少の頃から長年にわたっての信頼関係。リオ五輪でも久世コーチは松田の精神面をしっかりとサポートした。
出発点となる夢は、指導者ではなく選手が描くもの。
久世コーチは、こうも語っていた。
「出発点となる夢は、指導者から選手に与えることはできません。選手自身が描くもの。指導者は夢を形にするために手を差しのべたり、引っ張りあげたりすることです」
将来が楽しみだ、と直感させたのは、松田自身の、とことん速くなりたいという気持ちの強さだったろう。そして世界一になりたい、フェルプスに勝ちたいと、初心から変わることなく取り組んできたからこそ、刻み続けた足跡だ。
そのかたわらには、いつも立っていてくれる人がいた。
自分を育てるのは、最後は自分かもしれない。
でも、どれだけ速くなりたいと思い、夢を追い続けていても、不安に駆られることは必ずある。可能性を信じられなくなるときはある。
そんなときでも信じて見守る人がいることが、どれだけ大きいことか。
松田と久世、2つの信念が寄り添って築いた、競技人生だった。