野球善哉BACK NUMBER
北海はなぜガッツポーズしないのか。
甲子園では珍しいスタイルの「理由」。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2016/08/19 17:00
北海の選手たちの表情には、慢心も悲壮感もない。その瞬間に集中してプレーすることが、彼らの強さの秘密なのだろうか。
対戦相手の監督が感じた北海の手強さ。
北海と戦った聖光学院、日南学園、松山聖陵は、おそらく試合に負けた気がしなかったのではないだろうか。攻めていた時間帯もあったし、リズムのいい守りをしていたのはむしろ、彼らの方だった。
「大西君は粘りのあるピッチングをしていて、崩れそうで崩れなかった。北海はいつもそうなんだけど、淡々と戦っていた」と聖光学院の斎藤智也監督が言えば、日南学園の金川豪一郎監督も「こっちは理想的な形でしのいで攻撃をしていったんですけど、(北海は)勝負所を分かっていた」と称えている。
エースでキャプテンの大西は力を込めて言う。
「僕は相手打者を抑えて、ガッツポーズや雄たけびをしないです。野球は相手があって成立するスポーツですから、相手を敬うことを大事にしたいです」
ガッツポーズをしない快進撃。北海の謙虚で冷静沈着な戦いはまだ続く。