リオ五輪PRESSBACK NUMBER
名コーチと猛練習、吉田沙保里の存在。
登坂、伊調、土性、3連続逆転は必然だ。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAFLO
posted2016/08/19 11:20
逆転で連続金メダルとなった女子レスリングの初日。栄チームリーダーは「(登坂の決勝は)計算づくじゃない、神業だね」とコメント。
今年1月の13年ぶりの敗戦経験を活かした伊調。
決勝で対戦したのは、ワレリア・コブロワゾロボワ(ロシア)。登坂と同じく1-2で迎えた終盤、伊調はタックルで踏み込んできた瞬間に相手の足を取り、バックを取って残り3秒で3-2と逆転した。
「最後は相手も攻めてきたので、ここはラストチャンスと思って絶対に取りにいこうと思った。相手が入って来たところをナチュラルに攻めた」
伊調は女王のメンタルを前面に押し出して勝利をつかんだ。今年1月のロシアの大会で、モンゴルの若手プレプドルジにまさかのテクニカルフォール負けを喫し、'03年3月以来、じつに13年ぶりの敗戦を喫していたが、その敗戦も生かした。
女子では全競技を通じて史上初となる五輪4連覇を達成。「今回は始まる前から怖かった。戦うのが怖いと思った初めての五輪だったけど、気持ちで金メダルを取れた」
2人の金メダルを見て「自分も諦めない」と。
3人目は3人の中で最も若い21歳の土性沙羅だ。0-2でリードを許したまま残り約30秒で逆転勝利した。
決勝の相手のナタリア・ボロベワ(ロシア)は、'12年ロンドン五輪72キロ級金メダリスト。五輪の階級変更に伴って階級を下げ、昨年の世界選手権で69キロ級を制していた相手だ。土性は身長で15cmも大きい相手に対して苦戦し、消極姿勢で1ポイントずつ2回、相手に与えていた。
しかし、21歳は落ち着いていた。「2点とれば逆転できる。どこかでチャンスがあるはず」とチャンスをうかがった。
残り30秒。相手が仕掛けてきたところでバックを取られそうになったところをかわして鮮やかなタックル。そのまま押し込んで、2ポイントを奪取した。
規定により、1点ずつ重ねた相手に対して一気に2点を奪った土性の勝利。先に金メダルを獲得していた登坂と伊調の大逆転勝利を見ており、「自分も諦めない」という気持ちになっていた。