リオ五輪PRESSBACK NUMBER
名コーチと猛練習、吉田沙保里の存在。
登坂、伊調、土性、3連続逆転は必然だ。
posted2016/08/19 11:20
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
AFLO
日本女子レスリング勢が1日で3階級を制した。日の丸が三度揚ったリオ五輪カリオカアリーナ2。決勝の舞台では3人全員が終盤の逆転勝ちで、そのうち2人は残り5秒を切ってからの劇的な大逆転。会場に響く君が代はひとしおの歓喜だった。
フリースタイル58キロ級の伊調馨、同48キロ級の登坂絵莉、同69キロ級の土性(どしょう)沙羅の3人娘はどのように崖っぷちでの強さを身につけたのか。
最初に登場したのは48㎏級の登坂絵莉だった。22歳の登坂は、'13年から昨年まで世界選手権3連覇中で、金メダル候補の一番手だ。
決勝戦の相手は昨年の世界選手権決勝でも戦ったマリア・スタドニク(アゼルバイジャン)。第1ピリオド、登坂は足を取られて押し出され、0-1で折り返すと、第2ピリオドも先にポイントを取られて0-2とされた。
その後1ポイントを奪い返して1-2としたものの、残り時間はどんどん少なくなっていき、絶体絶命の大ピンチ。しかし、守って逃げ切ろうとする相手に対して終了間際に足を取ってバックに回り、2ポイントを奪った。
直後に終了のブザーが鳴る劇的な逆転勝ちで、初出場初金メダルの栄冠。
63キロ級3連覇の後、58キロ級に落として4連覇へ。
「本当は先取点を取って、相手が取り返しに来たところをカウンターで返すというイメージだった。まさか先に点を取られるとは思っていなかった。1つ取れば逆転だとは思っていたけど、残り30秒くらいでこのまま負けるのかと思った。最後に足を取ったのはどういうふうに取ったのか覚えていない」
セコンド席で飛び上がって喜んだ栄和人チームリーダーは「仕掛けが遅いと相手が逃げ切る。1ラウンド後半からどんどん攻めていたことで相手がバテていた。早めに攻めていなければ逃げ切られていたと思う。神業的なシナリオだった」と作戦勝ちを称賛した。
登坂に続いて登場したのは伊調馨だ。63キロ級で3連覇を達成し、今回は初めて58キロ級での五輪だった。