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福原愛「傷をえぐるみたいで……」
キム対策を石川に聞かなかった理由。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2016/08/11 14:00

福原愛「傷をえぐるみたいで……」キム対策を石川に聞かなかった理由。<Number Web> photograph by JMPA

福原愛は、ロンドン五輪で獲得した銀よりも輝くメダルを持って日本に帰れるだろうか。

カットマン相手に、ある程度のミスは必要経費。

 初対戦ではあったが、福原は相手への対策をもって臨んだと言う。

「ずっとビデオを観て研究はしました。ワールドツアーとかにあまり出てきていない選手なので、映像のある試合はすべて観ました」

 だが……。

「(4回戦で戦った)リ・ ミョンスンと同じカットマンでも、タイプが全然違いました。ミョンスンよりパワーがあると聞いていたんですけど、対戦してみて本当にパワーがあるなと思いました」

「序盤は焦りすぎかもしれないと思ったんですけど、カットマンとやる上では、ミスを繰り返しながら回転だったりが分かっていくので、それがもっと早く読めるようになっていれば」

 カットマンは、1球ごとにボールにかける回転数を変えてくる。選手によっても特徴が異なる。

 その見極めに時間がかかったことが、常に福原が後手に回るゲーム展開につながった。攻めに出ない方がいいボールを強打してミスしたり、ネットにかけるシーンが目立ったのもこのためだ。

試合前、石川にキムの情報を聞けなかった理由。

 キムとは今大会で石川佳純が対戦しているし、伊藤美誠も対戦経験がある。福原は「ビデオで研究した」と語ったが、2人に特徴を聞けばより有意義な情報となったはずだ。

 その質問に、福原はこう答えた。

「美誠に聞きました」

 でも石川には聞かなかった、と続け、理由も語った。

「傷をえぐるみたいで……」

 石川は足のアクシデントもあり、キムに敗れた。満を持して挑んだ五輪で、上位進出を誓いながら初戦で敗れた石川のショックを慮ったのだ。

 自分の勝利だけを考えれば、福原の配慮は必要のないものだった。今大会のキムの生きた情報を石川から聞き取ることで、試合の展開は変わったかもしれない。

 しかし一方で、同じ日本代表として戦うチームメイトへの思いやりは、団体戦では強みともなりえる。

「佳純ちゃんも、ものすごく悔しい思いをしていると思いますし、美誠も応援してくれていて、悔しい思いをしていると思います。力をあわせて、帰りたいです」

「力をあわせて」と「帰りたい」の間には、おそらくは「メダルを取って」の言葉がある。

 福原は、自身の悔しさと、チームメイトへの思いをかけて団体戦に挑む。

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