リオ五輪PRESSBACK NUMBER
中村美里がついに微笑んだ日――。
金以上の価値ある、復活の銅メダル。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJMPA
posted2016/08/08 12:30
「(ロンドン五輪よりも)今回は少しでも多く戦う姿を見せられたのは良かったです」と応援してくれた人々を思いやるコメントをした中村。
どん底からの再スタートの銅メダルに、大きな意味が。
悔しさはある。
北京五輪で銅メダルを手にしながら、「金メダル以外は同じです」と悔しがってから、追い続けてきた目標には3度目も届かなかったことになる。悔しいのは当然だろう。
でも、三度目の大舞台は想像もできないという状態からスタートして、手術とリハビリを乗り越えた。いろいろな経験を積んで、新たな仲間の応援も得た。その末に手にしたメダルだから、大事にしたいと思う。
南條監督は言う。
「波がありながら出場をつかんでの結果です。いろいろな評価はできると思います。これから柔道を続けていくのか分かりませんが、それをかみしめて、人生にトライしてもらいたいなと思います」
中村が手にしたのは、ロンドン五輪後に歩んできた時間の証であり、これからの人生にとって財産となる銅メダルだった。