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産みの苦しみと将来の安打王。
イチローの次に3000を狙うのは誰? 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2016/08/05 17:00

産みの苦しみと将来の安打王。イチローの次に3000を狙うのは誰?<Number Web> photograph by Getty Images

イチローが打席に立つだけで、敵地であってもファンの盛り上がりはピークに達する。全米が彼に注目している。

イチローに次いで3000本に迫る選手に目をやると……。

 ちなみに戦後最少は、ミュージアルの8774打数。2位はグウィンの8874打数。3位はカルーの9101打数。4位はウェイド・ボッグスの9151打数。5位はクレメンテの9454打数。アーロンは、いまのところ6位だ。

 ただし、20世紀前半の大打者は、はるかに速いペースで大台乗せに成功した。ホーナス・ワグナーが8801打数、ナップ・ラジュウェイが8630打数、トリス・スピーカーが8625打数、史上最速のタイ・カッブに至ってはなんと8093打数で3000本安打を記録している。ま、通算打率が3割6分7厘の人だから、べつに驚くことはないのだが。

 では、過去ではなく未来を見てみよう。イチローに次いで3000本安打を達成しそうな選手は、いまどれほどいるのだろうか。

 本数でいえば、エイドリアン・ベルトレが2873本(大リーグ在籍19年、37歳)、アルバート・プーホルス(在籍16年、36歳)が2769本でイチローにつづいている。

 このふたりは、まず達成するだろう。ドジャース時代のベルトレは、大して目立たない選手だったが(守備の人という印象さえあった)、25歳の年に200安打、48本塁打を放ってから一気に開花した。200安打はこの年だけだが、30歳以降の7年間で、合計1292安打、3割3厘の安定した打撃を見せている。

プーホルスは3000本安打と600本塁打を達成するか!?

 一方のプーホルスは、イチローと同じ2001年に、21歳でナ・リーグの新人王を獲得した怪物だ。遅咲きのベルトレとは対照的に、プーホルスは最初の10年間が凄まじかった。20代の10年間で、1900安打、408本塁打。この間の打率が3割3分1厘で、これはイチローの10年間と同じ打率だ。通算本塁打数も、現在580本に達した。順調に行けば、来季はプーホルスが大騒ぎされるだろう。3000本安打と600本塁打の両方を達成したのは、ウィリー・メイズ、ハンク・アーロンとアレックス・ロドリゲスの3人しかいない。

【次ページ】 偉人たちを並べるほど、3000本の難しさがわかる。

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