スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
産みの苦しみと将来の安打王。
イチローの次に3000を狙うのは誰?
posted2016/08/05 17:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
あのイチローでも、産みの苦しみを味わわなければならないのか。
3000本安打達成を目前にしながら足踏みをつづける彼の姿を見て、そう感じる人は多いはずだ。
実際、イチローは不振から抜け出せないでいる。7月22日に本拠地マイアミへ戻ってから、31日までの10連戦で17打数2安打。代打出場が多く(先発は2試合だけ)、電圧を維持するのがむずかしいのはたしかだが、気になるのは、バットが遠まわりして出ていることだ。
好調時にはインサイドアウトの軌道を描いていたバットの回転半径が、7月下旬以降は妙に大きい。いきおい、球を当てにいく印象が強く、打球も弱々しくなる。イチローが不調のときは、わりとこういう症状が出る。
もちろん、イチローは調整してくるだろう。これまでの15年間と4カ月、彼は何度も不調を切り抜けてきた。先発の機会が少ないので試合に出ながら修正するのは困難だが、彼はどこかで急所を見抜いてくるはずだ。
アーロンよりは少ない打席で3000本に到達?
8月2日現在、イチローの通算打席数は10324に達した。過去のデータを見ると、ロベルト・クレメンテは10212打席で、ロッド・カルーは10340打席で、ハンク・アーロンは10675打席で3000本安打を達成した。
第2次世界大戦後に限ると、クレメンテの打席数は3番目に少ない。戦後、最も少ない打席数で3000本安打に到達したのは、トニー・グウィン(9785打席)で、2位はスタン・ミュージアルの10170打席だ。イチローは、おそらく、クレメンテに次いで4位に入るのではないか。
到達時の「打数」でいうと、イチローは戦後6位か7位になりそうだ。8月2日現在、9559打数。9566打数で到達したアーロンよりも先着すると思うのだが、果たしてどうか。