マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
慶應・正木智也の驚弾で確信――。
清宮世代は「スラッガー世代」だ!
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/08/02 17:00
昨夏優勝校・東海大相模相手の2アーチ。正木はその名を全国に知らしめた。
「右の清宮幸太郎、現わる!」と伝えてほしい。
慶應高・正木智也のバッティング、もっと<えらい!>と思ったのは、この3回の打席で打った球種だ。
最初が山田の内角高目速球、次が山田のカーブ、そして3回目が、同じ左腕でも別人の安里の内角低目の速球だ。
すべて、<違うボール>を打った。それも、すべて自分のタイミングと、自分のポイントで捉え、そして自分本来の、そのフォームでいちばんたくさん振ってきたはずの、会心のフォームで<違うボール>を結果に置き換えた。
「右の清宮幸太郎、現わる!」
どこかのスポーツ新聞が、そんな見出しで伝えてくれないかとも思う。
もっと言えば、第4打席だ。足元にフォーク系を落とされて、空振りの三振に仕留められたその姿まで<清宮幸太郎>だと思っている。
東海大相模の背番号19・赤尾が醸し出す“4番感”。
この試合、もう1人、清宮幸太郎の本質を共有したスラッガー候補を見つけた。こちらは3年生だ。予想外の大差で敗れた東海大相模高の4番をつとめた赤尾光祐外野手。
184cm85kg、大会のパンフレットのメンバー表にも載っていない<背番号19>の大型打者である。
そんな大きな背番号を背負っていても、高校通算27本塁打というから、さすが東海大相模の選手層は厚い。
最初の打席、今はやりの大げさな動作でタイミングをとることもなく、見栄っ張りなフルスイングで<4番のふり>をすることもない。そこに好感を抱いた。内角寄りの133キロをコンパクトに振り抜いて三遊間をライナーで抜いた打球のスピードが<相模の4番>だった。次の遊ゴロもタイミングは合っていた。そろそろだろう……。
そう思って待っていた3打席目に驚いた。